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緊急事態条項を含む“選挙困難な緊急時は議員任期を延長”自民など改憲骨子案  4週間

緊急事態条項をめぐる自民党などの改憲骨子案について

おはようございます。2025年6月13日、本日のニュースです。

今日のトップニュースは、憲法改正をめぐる動きについてです。自民党をはじめとする複数の政党が、大規模災害や緊急事態で選挙が実施できない場合に国会議員の任期を延長することを可能にする「緊急事態条項」の改憲骨子案を提示しました。

この提案は、衆議院憲法審査会の幹事会で示されたもので、権力の濫用が危惧されるため、今後の議論が注目されています。今回は、このニュースを詳しくわかりやすくお伝えします。

背景説明

まず、緊急事態条項とは何かを簡単にご説明します。緊急事態条項とは、大規模な自然災害、戦争、テロ、感染症のまん延など、国家が危機に直面した際に、政府や国会の機能を維持するための特別なルールを憲法に定めるものです。現行の日本国憲法には、こうした緊急事態を想定した明確な規定がほとんどなく、唯一、衆議院が解散中に緊急の必要がある場合に参議院が「緊急集会」を開くことができると定められている程度です(憲法54条2項)。しかし、この緊急集会には限界があり、立法や予算の承認など、国会としての本格的な機能を発揮するには不十分だとの指摘が長年ありました。

自民党は、こうした課題に対応するため、憲法に緊急事態条項を新設することを党是として掲げてきました。特に、2011年の東日本大震災や新型コロナウイルス禍、ロシアによるウクライナ侵攻など、国内外で危機が現実味を帯びる中、緊急時の国家運営のルールを明確にすべきだとの声が高まっています。一方で、緊急事態条項の導入には、権力の濫用や国民の権利制限につながるリスクがあるとして、慎重論や反対意見も根強く存在します。

改憲骨子案の内容

今回のニュースの中心は、自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、そして野党系会派「有志の会」が共同で提示した改憲骨子案です。この骨子案は、2025年6月12日に衆議院憲法審査会の幹事会で示され、以下のような内容が含まれています。

  1. 選挙困難時の議員任期延長
    骨子案の柱は、大規模な自然災害やテロ、感染症のまん延など、選挙を実施することが困難な緊急事態が発生した場合に、国会議員の任期を特例的に延長できるようにする規定です。現行憲法では、衆議院議員の任期は4年、参議院議員は6年と定められており、任期満了や衆議院解散後には必ず選挙が行われる必要があります。しかし、例えば大地震でインフラが壊滅したり、感染症で投票所の運営が困難になった場合、選挙が実施できず、国会議員が不在となる「議会空白」が生じる恐れがあります。この骨子案は、そうした事態を防ぎ、国会の機能を維持することを目指しています。
  2. 緊急事態の認定プロセス
    緊急事態の認定については、内閣がまず提案し、国会の事前承認を得る仕組みが検討されています。ただし、具体的な承認要件、たとえば衆参両院の過半数でよいのか、3分の2以上の賛成が必要かについては、政党間で意見が分かれています。自民党は過半数での承認を主張する一方、公明党や維新などは、より高いハードルである3分の2を求める立場です。この点は、今後の議論で詰められる予定です。
  3. 他の緊急事態条項との関係
    今回の骨子案は、主に議員任期延長に焦点を当てていますが、自民党は過去に、緊急事態条項のもう一つの柱として「緊急政令」の導入も提案してきました。緊急政令とは、国会が機能しない場合に、内閣が法律に代わる政令を制定できる仕組みです。ただし、この案は、権力の集中や人権制限のリスクが指摘されており、今回の骨子案には含まれていません。自民党は、任期延長を先行させつつ、将来的に緊急政令も含めた包括的な緊急事態条項を目指す方針とみられます。

各党の立場

この改憲骨子案をめぐる各党の立場を見てみましょう。

  • 自民党
    自民党は、緊急事態条項の創設を党の長年の目標として推進しています。2024年8月には、党の憲法改正実現本部で、緊急時の議員任期延長の必要性について衆参両院の議員が一致し、議論を加速させました。岸田文雄首相も、憲法改正は「国民に選択肢を示す政治の責任」と強調しており、国民投票に向けた機運醸成に力を入れています。
  • 公明党、日本維新の会、国民民主党
    これらの政党は、議員任期延長についてはおおむね賛成の立場です。特に国民民主党は、2022年の憲法審査会で、緊急事態条項を「権力統制条項」として明確に定めるべきだと主張し、具体的な条文案の作成にも積極的です。一方、公明党や維新は、権力濫用を防ぐための厳格なルールを求めるなど、慎重な姿勢も見せています。
  • 立憲民主党、共産党
    野党第一党の立憲民主党や共産党は、緊急事態条項の創設に強く反対しています。立憲民主党は、議員任期延長は国民の選挙権を制限する恐れがあり、既存の参議院の緊急集会で対応可能だと主張。共産党も、「議員任期延長は国民主権の侵害」と批判しています。また、両党は、緊急事態条項が内閣の権限を過度に強化し、独裁や人権制限につながるリスクを強調しています。
  • 日本弁護士連合会など
    市民団体や法曹界からも懸念の声が上がっています。日本弁護士連合会は、2017年と2022年に、緊急事態条項の創設は「権力濫用の危険性が高く、民主主義を損なう」とする意見書を発表。議員任期延長についても、国民の選挙権を制限するとして反対しています。

賛否両論と今後の展望

この改憲骨子案をめぐる賛否のポイントを整理します。

賛成側の意見

  • 議会空白の防止:大規模災害などで選挙ができない場合、国会の機能を維持することは危機管理上不可欠。
  • 国際的な標準:諸外国の憲法では緊急事態条項が一般的であり、日本も同様の備えが必要。
  • 国民の支持:世論調査では、緊急時の議員任期延長に賛成する意見が一定数あり、読売新聞の調査では76%が支持(2022年)。

反対側の意見

  • 権力濫用のリスク:緊急事態の定義が曖昧だと、政府が恣意的に選挙を延期し、権力を維持する恐れがある。
  • 選挙権の制限:議員任期延長は、国民の選挙権を一時的に停止するもので、国民主権に反するとの批判。
  • 代替案の存在:参議院の緊急集会や迅速な予算措置で対応可能であり、憲法改正の必要性は低い。

今後、この骨子案は、衆議院憲法審査会で具体的な条文案の作成に向けて議論が進められる予定です。しかし、憲法改正には、衆参両院の3分の2以上の賛成と、国民投票での過半数の承認が必要です。立憲民主党などの反対や、国民世論の動向次第では、発議に至るまでには時間がかかる可能性があります。

まとめ

自民党など5つの会派が提示した緊急事態条項の改憲骨子案は、大規模災害などで選挙が困難な場合に議員任期を延長する仕組みを憲法に盛り込む提案です。危機管理の強化を目指す一方、権力濫用や選挙権制限の懸念も浮上しており、賛否が分かれています。国会での議論や国民の理解が今後の焦点となります。引き続き、憲法改正をめぐる動きには注視していきたいです。


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